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受賞者近況

川崎医療福祉大学 小栁 えり
(令和元年度 受賞者)


アセチルLカルニチンの疲労軽減効果


 この度は、平成31年度川崎医学・医療福祉学振興会 教育助成を賜り、選考委員の先生および関係者の先生方に強く感謝申し上げます。私は、これまで生活習慣病予防の観点から、運動の有効性のみならず危険性について生化学的な手法を用いて検討を行ってまいりました。各方面からの様々なサポートに甘えながらの毎日でありますが、私どもの研究成果が少しでも社会に還元できるよう、日々研究活動に励むとともに、後に続く学生の育成にも邁進中であります。主に研究テーマとしているのは、運動によるメタボリックシンドローム改善にかかわるメカニズムの解明、さらに身体活動低下にかかわる因子から疲労抑制システムの解明に取り組んでいます。
 今回の助成では、身体活動性低下にかかわる因子の解明と疲労モデルを用いて抑制に働く因子としてアセチルLカルニチンの効果について検討をおこないました。そのカルニチンは、脂質代謝に必須で赤身の肉に多く含まれているリジンとメチオニンが結合したジペプチドであります。体内でも合成されるのですが、加齢とともにその合成量は減少することが報告されています。我々はこれまでミトコンドリアを起因とするアポトーシスに対してカルニチンが保護する作用を有することを報告しています。近年、このカルニチンの積極的な摂取が高齢者の慢性疲労症候群いわゆる倦怠感を軽減する可能性が報告されています。中枢性の疲労には、脳内炎症物質の増加が関与するとの報告もありますが、詳細については不明なままであります。Poly: IC投与を用いた疲労モデルでは、マウスの活動性が低下しアセチルLカルニチンをあらかじめ投与しておくことで、早期に活動性の回復がみられることが今回明らかとなりました。この活動性低下にかかわる因子について遺伝子レベルでの変化を現在検討するとともに、これらのメカニズムを明らかにしていくことで、慢性疲労に対するアセチルLカルニチンの新たな軽減効果が期待できるものと考えています。
 こうした研究を通して人間が健やかに生きるため、健康を可能な限り長く維持できる社会の実現に少しでも貢献できるよう健康科学の分野で今後も歩んでまいりたいと思います。

[令和2年12月1日掲載]

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