受賞者寄稿文

川崎医療福祉大学　中川 智之
（令和5年度　受賞者）

日本学校教育学会 第37回研究大会を開催して

　この度は、公益財団法人川崎医学・医療福祉学振興会地域連携・交流助成を賜り、誠にありがとうございました。選考委員会の先生方および関係者の皆様に深謝いたします。
　令和5年8月5日（土）に、川崎医療福祉大学を主催校として、日本学校教育学会第37回研究大会をオンラインにより開催いたしました。日本学校教育学会は、学校教育に関する実践と理論の緊密化・統合を目指す学校教育の実践者と研究者によって創立された学会であり、理論と実践の往還・融合を目指した活動を特色としています。今大会では、自由研究発表に加え、シンポジウム、課題研究、ラウンドテーブルを開催いたしました。
　シンポジウムでは、「子どもの多様性を包摂する学校教育について考える―乳幼児期から義務教育就学初期（架け橋期）を中心に―」と題し、3名の日本を代表する研究者からご講演いただきました。まず、国立教育政策研究所幼児教育研究センターフェローでありOECD Early Childhood Education and Care Networkのメンバーでもある門田理世先生から、「接続期を持つ義務教育の意味について考える」のタイトルで、OECD Education2030や就学前教育と義務教育の世界の動向に関してお話しいただきました。次に、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所インクルーシブ教育システム推進センター上席総括研究員兼センター長である久保山茂樹先生から、「『共生社会の担い手を育む』をこれからの教育の合言葉に―インクルーシブな発想が教育の質を向上する―」のタイトルで、インクルーシブな視点に基づく教育・保育や共生社会の重要性についてお話しいただきました。最後に、医療福祉学発祥の川崎医療福祉大学における博士課程第１期修了者である橋本勇人先生から「子どもの多様性を包摂する幼稚園教諭養成の実践―こども基本法の精神と教育・医療福祉を学ぶ意義―」のタイトルで、日本国憲法と多様性尊重との関係や教育における医療福祉学の果たし得る意義についてお話いただきました。参加者からは、教育に関する最先端の動向に関する知的な刺激を受けた、少数者に寄り添う大切さを再認識した、あらゆる子どもや保護者を支援できるようになりたいという思いを強くした等の声が聴かれました。
　本会開催にあたり、川崎医学・医療福祉学振興会から多大なるお力添えをいただきましたことに改めまして厚く御礼を申し上げますとともに、貴法人の益々の発展を心よりお祈り申し上げます。

［令和6年4月1日掲載］