受賞者寄稿文

川崎医療福祉大学　濱田　大幹
（令和6年度　受賞者）

水辺教育でのリアルタイム動画解析によるWater Safety Net AIの開発

　この度は、令和6年度 公益財団法人 川崎医学・医療福祉学振興会 教育研究助成を賜り、誠にありがとうございました。選考委員の先生方をはじめ、関係者の皆様に深く感謝申し上げます。
　本研究では、水辺での安全教育の向上と事故防止を目的に、リアルタイム動画解析技術を活用した「Water Safety Net AI」の開発に取り組んでおります。近年、水難事故は依然として多発しており、特に子どもを対象とした水辺教育の重要性が高まっています。しかし、従来の水辺安全教育には、安全性の確保に課題があり、実際の危険認知や迅速な対応力の向上には限界がありました。そこで、本研究では映像解析技術を導入し、安全な水辺教育を提供できる環境の構築を目指しています。
　「Water Safety Net AI」は、カメラ映像をリアルタイムで解析し、対象者のバイタルデータを映像上に表示することが可能となるシステムです。また、AIが異常値を検知した際には即座に画面に表示されるため、現場の監視者や指導者が迅速に対応できるシステムとなっています。
　本研究では、まずプールを対象に実証実験を行い、システムの開発を進めました。将来的には、この「Water Safety Net AI」を水辺教育全般に広く導入し、水辺での安全教育のスタンダードとなることを目指しています。さらに、本システムは教育現場にとどまらず、公共施設や一般の利用者にも活用されることを想定しています。また、AIによる危険検知データを蓄積・解析することで、より効果的な教育プログラムの開発にも寄与できると考えております。
　最後になりますが、研究予算の獲得に苦戦していた新米研究者の私にとって、貴財団からの助成は研究の大きな前進につながりました。改めまして、私の研究にお力添えをいただきました貴財団に深く御礼を申し上げるとともに、貴財団のさらなるご発展を心よりお祈り申し上げます。

［令和7年4月1日掲載］