受賞者寄稿文

川崎医科大学総合医療センター　河原　今日子
（令和6年度　受賞者）

看護実践能力向上に向けた院内研修の成果と今後の展望

　この度は、公益財団法人 川崎医学・医療福祉学振興会 教育研究助成に採択いただき誠にありがとうございました。選考委員会の先生方および関係者の皆様に深謝いたします。
　川崎医科大学附属病院と川崎医科大学総合医療センターでは、3年目以上の看護師を対象に、特定行為研修の共通科目を組み込んだ研修を実施しています。この研修を受講することで、病態推論やアセスメント能力が養われ、患者に対してより適切なケアが提供できることを期待しており、そのための研修プログラムを設計いたしました。研修は、e-ラーニングを活用したオンライン研修に加えて、看護実践の強化を目的とし、特定行為研修を修了した看護師が、実症例でのアセスメント支援や、講義での疑問解決を行う演習支援も組み込んでいます。
　今回の研究では、臨床経験3年以上の看護師を対象に、看護師特定行為研修を組み込んだ院内研修の受講度合いと、演習支援の有無によって看護実践能力に差があるかどうかを、看護実践能力自己評価尺度（CNCSS）を用いて評価・検討しました。
　CNCSSの13コンピテンスの平均値は、「基本的責務」が最も高く、次いで「倫理的実践」が高い結果となりました。研修参加の有無で、看護実践能力に違いがあるのかを検討したところ、演習を組み込んだ学習を受けた者は、「クリニカルジャッジメント」「リスクマネジメント」「看護管理（役割遂行）」「継続学習」の項目で有意に高い結果を示しました。これにより、看護師特定行為研修で演習を組み込んだ学習が、看護実践能力の向上に寄与する可能性が示唆されました。ただ、演習を組み込んだ研修を受けた者のサンプル数が少なく、結果に影響した可能性も否定できません。今後も引き続き本研究を継続的に実施していく予定です。本研究の結果は日本看護管理学会で発表する予定です。
　最後になりましたが、今回の研究の機会を与えてくださいました公益財団法人川崎医学・医療福祉学振興会の関係者の皆様に、この場をお借りし、再度厚く御礼申し上げます。貴財団の今後益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。

［令和7年4月1日掲載］