受賞者寄稿文

川崎医療福祉大学　瀬部 真由
（令和4年度　受賞者）

歯周病予防への応用を目指したジャワショウガ由来成分の抗菌活性の検討

　この度は令和４年度 公益財団法人 川崎医学・医療福祉学振興会 教育研究助成を賜りまして、誠に有り難うございました。選考委員の先生方、ならびに関係者の皆様に深謝申し上げます。
　ジャワショウガはインドネシア原産植物であり、東南アジアを中心に古くから食品や伝統薬として食されている安全性の高い作物です。ジャワショウガから抽出される成分バングレン（Banglene）には、ヒトの神経細胞への分化と神経突起の伸長を促す効果があることがすでに報告されており、脳機能改善効果に認知症予防が期待されています。
　本研究ではジャワショウガ由来成分バングレンの抗菌活性に着目し、基礎研究に取り組んで参りました。本研究において、バングレンは歯周病菌に対して抗菌活性をもつことやバイオフィルム（歯垢）形成阻害効果があることが明らかになり、バングレンには新たな機能として歯周病予防効果があることが見出されました。近年では歯周病は糖尿病や心血管障害、早産・低体重児出産など様々な全身疾患との関連性が指摘されており、歯周病予防には口腔内への効果にとどまらず、栄養面や認知症・全身疾患の重症化予防など幅広い面から、ヒトの健康の維持・増進効果が期待されています。バングレンそのものには特徴的な味や匂いはないため、食品、衛生、医療分野への幅広い応用が期待できると考えております。
　さらに今後は今回の成果を発展させていき、バングレンを活用した歯周病予防を目的としたオーラルケア製品の開発を目指して研究活動を進めてまいりたいと考えております。
　また、私自身は研究を始めたばかりで研究予算の獲得に苦戦しておりましたが、貴財団から賜りました研究助成によって研究を大きく前進させることができました。得られた成果は第96回日本細菌学会総会にて発表させていただきました。本発表に対して、多くの質問や関心の声をいただき、研究のモチベーションが高まりました。現在は論文投稿に向けての準備を進めております。
　改めまして、本研究にお力添えを下さった貴財団に厚く御礼を申し上げるとともに、貴財団の益々の発展を心よりお祈り申し上げます。

［令和5年4月1日掲載］