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川崎医科大学附属病院 安田 万里子
(令和7年度 受賞者)
この度は、令和7年度 川崎医学・医療福祉学振興会 教育助成を賜り、選考委員会の諸先生方ならびに関係者の皆様に深く感謝申し上げます。
日本では高齢化が進み、認知症の方が増えています。認知症の介護では、もの忘れなどの症状に加えて、妄想、不安、怒りっぽさ、意欲の低下などの「行動・心理症状(BPSD)」がみられることがあり、介護者の負担を大きくしやすいことが知られています。さらに、身体機能の低下や聴力の衰えも重なることで、介護の大変さは一段と高まります。とくにBPSDは、介護する家族の疲れや戸惑いをもたらし、対応が難しくなることで症状がより強まるという悪循環を招くことがあります。
このような、家族の介護負担の増大は喫緊の社会的課題となっています。しかし、その負担を規定する要因については十分に検討されていない点も多く残されています。そこで、本研究では、こうした介護負担を規定する要因を明らかにすることを目的としました。
調査の結果、対象患者の約8割にBPSDが認められ、12の症状のうち「無関心(意欲低下)」が最も多く認められました。また、この症状は介護負担を高め、介護者に否定的な感情を抱かせやすいこと、介護者の社会生活に支障をきたしやすいことが明らかになりました。意欲の低下は、一般的には問題行動とは異なり目立ちにくく、手がかからないように思われるかもしれません。しかし、自発性が下がることで、介護者が促したり手伝ったりする場面が増え、結果として負担につながるのではないかと考えられます。他にも、「妄想(事実でないことを信じる)」、「興奮(介助への拒否)」、「多幸(理由なく陽気になる)」、「脱抑制(衝動的な行動)」および「異常行動(目的のない反復行動)」といった症状も介護者の負担を増加させやすいことが明らかになりました。
BPSD以外にも、認知症の進行や要介護度の高さ、認知機能や生活機能の低下が、介護負担の大きさと関係していることがわかりました。また、介護サービスを利用している場合にも、負担が大きいことが明らかになりました。これらの結果から、介助量が増えることや、見守りの必要性が高まることが、介護負担の大きさにつながる可能性が示されました。
本研究で得られた知見は、介護者支援のあり方を考える上で重要な手がかりになると考えられます。今回の成果を踏まえ、認知症を有する高齢者とその家族の生活の質の向上に寄与できるよう、今後も研究に取り組んでまいります。
最後になりましたが、本研究の機会を与えてくださいました公益財団法人川崎医学・医療福祉学振興会の関係者の皆様に、厚く御礼申し上げますとともに、貴財団の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。
[令和8年4月1日掲載]
平成24年度
| 受賞部門 | 氏名 | 所属 |
| 国際 | 小田桐 早苗 | 川崎医療福祉大学 |
| 教育 | 原 裕一 | 川崎医科大学 |
| 教育 | 長洲 一 | 川崎医科大学 |
| 教育 | 大植 祥弘 | 川崎医科大学 |
| 教育 | 李 順姫 | 川崎医科大学 |
| 教育 | 溝手 雄 | 岡山大学大学院 |
| 教育 | 藤野 雅広 | 川崎医療福祉大学 |
平成23年度
| 受賞部門 | 氏名 | 所属 |
| 教育 | 西村 広健 | 川崎医科大学 |
| 国際 | 清蔭 恵美 | 川崎医科大学 |
| 教育 | 山内 明 | 川崎医科大学 |
| 教育 | 俵本 和仁 | 川崎医科大学 |
| 地域 | 正木 久男 | 川崎医科大学 |
| 教育 | 青木 淳哉 | 川崎医科大学 |
| 地域 | 下屋 浩一郎 | 川崎医科大学 |
平成22年度
| 受賞部門 | 氏名 | 所属 |
| 教育 | 三好 智子 | 岡山大学病院 |
| 教育 | 小野 淳一 | 川崎医科大学 |
| 教育 | 岡本 威明 | 川崎医科大学 |
| 教育 | 矢作 綾野 | 川崎医科大学 |
| 教育 | 橋本 美香 | 川崎医療短期大学 |
平成21年度
| 受賞部門 | 氏名 | 所属 |
| 教育 | 脇本 敏裕 | 川崎医療福祉大学 |
| 教育 | 熊谷 直子 | 川崎医科大学 |
| 教育 | 三上 史哲 | 川崎医療福祉大学 |
| 教育 | 河井 まりこ | 岡山大学大学院 |
平成20年度
| 受賞部門 | 氏名 | 所属 |
| 教育 | 横山 光彦 | 川崎医科大学 |
| 教育 | 芝﨑 謙作 | 川崎医科大学 |
| 教育 | 田中 俊昭 | 川崎医科大学附属川崎病院 |
| 教育 | 平田 あずみ | 岡山大学大学院 |
平成19年度
| 受賞部門 | 氏名 | 所属 |
| 国際 | 片岡 則之 | 川崎医療福祉大学 |
| 教育 | 茅野 功 | 川崎医療福祉大学 |
| 教育 | 前田 恵 | 川崎医科大学 |
| 教育 | 永坂 岳司 | 岡山大学大学院 |
平成18年度
| 受賞部門 | 氏名 | 所属 |
| 教育 | 宮地 禎幸 | 川崎医科大学 |
| 教育 | 眞部 紀明 | 川崎医科大学 |
| 教育 | 平林 葉子 | 川崎医科大学大学院 |
| 教育 | 前島 伸一郎 | 川崎医科大学附属川崎病院 |
平成17年度
| 受賞部門 | 氏名 | 所属 |
| 教育 | 渡辺 洋子 | 川崎医科大学 |
| 教育 | 寳迫 睦美 | 岡山大学大学院 |
| 教育 | 美藤 純弘 | 岡山大学大学院 |
| 教育 | 稲垣 幸代 | 岡山大学大学院 |
平成16年度
| 受賞部門 | 氏名 | 所属 |
| 教育 | 橋本 謙 | 川崎医科大学 |
| 国際 | 辻 修平 | 川崎医科大学 |
平成15年度
| 受賞部門 | 氏名 | 所属 |
| 教育 | 三浦 孝仁 | 岡山大学 |