TOP - 助成事業 - 受賞者寄稿文
川崎医療福祉大学 黒住 菜美
(令和6年度 受賞者)
この度は、令和6年度公益財団法人川崎医学・医療福祉学振興会教育研究助成を賜り、選考委員会の先生方および関係者の皆様に深く深謝いたします。
近年、新たな創薬のターゲットとして脱ユビキチン化酵素が注目され始めました。脱ユビキチン化酵素は細胞内の恒常性を維持するユビキチンの維持やプロテアソーム分解を調整する役割を担っています。腫瘍内では発現が高く、異常な蛋白質の蓄積を引き起こして腫瘍発生の原因となることが明らかになりました。しかしながら、腫瘍における脱ユビキチン化酵素の機能の全容は解明されておらず、脱ユビキチン化酵素阻害を治療法として確立するためには標的や関与するシグナル伝達経路の特定が課題となっています。私は現在、脱ユビキチン化酵素の一つであるUSP14に注目し、その阻害効果を検証してきました。USP14は造血器腫瘍の薬剤耐性に関与し、その阻害剤はプロテアソーム活性化剤として作用します。以前の検討でUSP14阻害剤を急性白血病細胞株に添加すると細胞周期を停止させ、増殖抑制効果が認められましたがその機序は不明でした。
今回、USP14阻害によって生じた細胞周期停止の原因を追究するために、細胞周期制御因子の蛋白量の変化を検出したところ、一部の制御因子量が減少しました。細胞周期制御因子の多くはプロテアソームによって分解制御されていることから、USP14阻害によって分解が促進され、細胞周期の進行に影響を与えたと示唆されました。さらに、減少した制御因子は新たなUSP14の標的であると推測され、不明であった腫瘍内の脱ユビキチン化酵素の機能の一端を解明することができたと考えています。急性白血病において治療不応例、再発例、移植適応外症例等の場合は依然としてきわめて予後不良であり、既存の治療法とは異なる作用機序を持つ脱ユビキチン化酵素USP14阻害効果は継続して研究する必要があります。今後はUSP14が標的とする蛋白が関与するシグナル伝達経路への影響を検討したいと考えております。
最後になりましたが、これらの成果を得る機会を与えていただき、貴財団の関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。今後ますますの貴財団のご発展を心よりお祈り申し上げます。
[令和7年4月1日掲載]
平成24年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
国際 | 小田桐 早苗 | 川崎医療福祉大学 |
教育 | 原 裕一 | 川崎医科大学 |
教育 | 長洲 一 | 川崎医科大学 |
教育 | 大植 祥弘 | 川崎医科大学 |
教育 | 李 順姫 | 川崎医科大学 |
教育 | 溝手 雄 | 岡山大学大学院 |
教育 | 藤野 雅広 | 川崎医療福祉大学 |
平成23年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 西村 広健 | 川崎医科大学 |
国際 | 清蔭 恵美 | 川崎医科大学 |
教育 | 山内 明 | 川崎医科大学 |
教育 | 俵本 和仁 | 川崎医科大学 |
地域 | 正木 久男 | 川崎医科大学 |
教育 | 青木 淳哉 | 川崎医科大学 |
地域 | 下屋 浩一郎 | 川崎医科大学 |
平成22年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 三好 智子 | 岡山大学病院 |
教育 | 小野 淳一 | 川崎医科大学 |
教育 | 岡本 威明 | 川崎医科大学 |
教育 | 矢作 綾野 | 川崎医科大学 |
教育 | 橋本 美香 | 川崎医療短期大学 |
平成21年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 脇本 敏裕 | 川崎医療福祉大学 |
教育 | 熊谷 直子 | 川崎医科大学 |
教育 | 三上 史哲 | 川崎医療福祉大学 |
教育 | 河井 まりこ | 岡山大学大学院 |
平成20年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 横山 光彦 | 川崎医科大学 |
教育 | 芝﨑 謙作 | 川崎医科大学 |
教育 | 田中 俊昭 | 川崎医科大学附属川崎病院 |
教育 | 平田 あずみ | 岡山大学大学院 |
平成19年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
国際 | 片岡 則之 | 川崎医療福祉大学 |
教育 | 茅野 功 | 川崎医療福祉大学 |
教育 | 前田 恵 | 川崎医科大学 |
教育 | 永坂 岳司 | 岡山大学大学院 |
平成18年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 宮地 禎幸 | 川崎医科大学 |
教育 | 眞部 紀明 | 川崎医科大学 |
教育 | 平林 葉子 | 川崎医科大学大学院 |
教育 | 前島 伸一郎 | 川崎医科大学附属川崎病院 |
平成17年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 渡辺 洋子 | 川崎医科大学 |
教育 | 寳迫 睦美 | 岡山大学大学院 |
教育 | 美藤 純弘 | 岡山大学大学院 |
教育 | 稲垣 幸代 | 岡山大学大学院 |
平成16年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 橋本 謙 | 川崎医科大学 |
国際 | 辻 修平 | 川崎医科大学 |
平成15年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 三浦 孝仁 | 岡山大学 |