受賞者寄稿文

川崎医科大学附属病院　山下　真史
（令和6年度　受賞者）

がん薬物療法　薬薬連携講習会を開催して

　この度は令和6年度公益財団法人川崎医学・医療福祉学振興会教育研究助成を賜り、誠にありがとうございました。
　今回、上司の勧めを受け、地域の保険調剤薬局との連携を強化することを目的とした講習会の開催を主担当することとなり、助成の申請に至りました。
　近年、外来がん薬物療法の増加に伴い、薬局における服薬指導や副作用管理の重要性が高まっています。当院は院内処方が中心で、院外処方箋発行率は6%前後ですが、がん治療のみを当院で受け、その他の医療はかかりつけ医で受けている患者が増加しています。このような状況を踏まえ、地域の薬局との連携強化は重要な課題となっています。
　令和2年度には、薬局と病院の連携の必要性が高まり、それが評価されて連携充実加算が新設されました。この加算の算定施設となるためには、「地域の薬局薬剤師等を対象とした研修会等を年1回以上実施すること」が要件の一つとされています。当院は現在、届け出を行っていませんが、将来的な申請を見据え、講習会の開催をその足がかりとすることを目指しました。
　これまで勉強会の司会経験はありましたが、講師依頼やWeb講演会の準備、参加希望者の募集、会場設営、本番中のPC操作などの事務的業務は未経験であり、不安を抱えながら準備を進めました。各業務の担当者や経験者に助言を求めながら進め、特に参加者数の確保に関しては、薬局薬剤師会と関わりのある上司の協力により、25名の薬局薬剤師に参加登録していただきました。認定単位が付与されない講習会でありながら、多くの参加希望をいただいたことで、開催の意義を実感し、より高い動機を持って当日を迎えることができました。
　当日は細かな反省点はあるものの、概ね滞りなく進行し、アンケートでも好意的な評価やコメントを多くいただき、成功裏に終えることができました。また、参加者からは「今後も継続的に開催してほしい」との声も寄せられ、地域の薬薬連携を深める重要な機会となりました。
今回の経験を通じて得た課題を改善し、次回以降の講習会では、より効果的な運営を目指していきたいと考えています。講習内容の充実や、より多くの薬局薬剤師が参加しやすい環境整備にも取り組んでまいります。
　改めまして、貴重な機会をいただきましたことに深く感謝申し上げます。

［令和7年4月1日掲載］