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川崎医療福祉大学 藤田 美佳
(令和4年度 受賞者)
この度は令和4年度 公益財団法人川崎医学・医療福祉学振興会教育研究助成を賜り誠にありがとうございました。選考委員会の先生方および関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。
現在、私は視能療法学科に所属し視機能の評価、訓練に携わる仕事をしており、リハビリテーションの先生方とともに高次脳機能障害である半側空間無視と視路障害である同名半盲について研究を行っております。
半側空間無視は注意障害を伴うため見えないことを自己認識できません。一方の同名半盲は視交叉以降の視路障害であるため注意障害を伴わず見えないことを自己認識できる点で異なります。しかし、両者は半側が見えないという点では類似していますが、リハビリテーションの介入方法は異なるため特性を捉えることが重要です。
以前より、注意と眼球運動の経路には関連性があることが指摘されており、眼球運動の側面から視覚的注意特性を評価することは半側空間無視と同名半盲に対する日常生活での質の維持・向上に寄与する可能性があると考えられます。
近年近赤外線により角膜反射像を捉える非侵襲的な視線計測装置が開発され、簡易的な眼球運動の測定が可能となりました。そこで本研究では、第一に視線計測装置を用いて視覚的注意特性を捉えるための眼球運動の評価指標を設定し、健常人において20~60代の年代別正常範囲を検討しました。眼球運動は視標振幅10°、20°、30°の衝動性眼球運動(SEM)と視標振幅30°、移動速度6°/sの滑動性眼球運動(SPEM)の2種類を測定しました。SEMの評価指標として、空間知覚に要する時間の把握に「持続時間」、空間知覚の正確性の把握に「視線移動量」および「SEM回数」、視線位置の正確性に対する補助的評価として「視点取得率」を設定し、SPEMの評価指標として、注意の持続の把握に「視標追従量」と「SEM混入回数」を設定しました。その結果、眼球運動の年齢変化はSEMには認められず、SPEMのSEM混入回数には年齢とともに増加が認められました。これは視線計測装置で測定した結果が眼球電図の報告と一致していることが確認でき、SEMとSPEMそれぞれの20~60代の年齢別正常範囲を求めることができました。
今回、貴財団からの助成により、視線計測装置を用いて視覚的な注意特性を捉えるための眼球運動の定量的評価指標と健常人の正常範囲の設定を行うことができました。これらは、半側空間無視と同名半盲の病態評価に応用しリハビリテーションや視能矯正に役立つことが期待でき、今後引き続き検討を進めて参ります。
最後になりましたが、この度機会を与えてくださいました園尾博司理事長をはじめとする貴財団の関係者の皆様方に、この場をお借りして厚く御礼申し上げるとともに、貴財団のますますの発展を心よりお祈り申し上げます。
[令和5年4月1日掲載]
平成24年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
国際 | 小田桐 早苗 | 川崎医療福祉大学 |
教育 | 原 裕一 | 川崎医科大学 |
教育 | 長洲 一 | 川崎医科大学 |
教育 | 大植 祥弘 | 川崎医科大学 |
教育 | 李 順姫 | 川崎医科大学 |
教育 | 溝手 雄 | 岡山大学大学院 |
教育 | 藤野 雅広 | 川崎医療福祉大学 |
平成23年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 西村 広健 | 川崎医科大学 |
国際 | 清蔭 恵美 | 川崎医科大学 |
教育 | 山内 明 | 川崎医科大学 |
教育 | 俵本 和仁 | 川崎医科大学 |
地域 | 正木 久男 | 川崎医科大学 |
教育 | 青木 淳哉 | 川崎医科大学 |
地域 | 下屋 浩一郎 | 川崎医科大学 |
平成22年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 三好 智子 | 岡山大学病院 |
教育 | 小野 淳一 | 川崎医科大学 |
教育 | 岡本 威明 | 川崎医科大学 |
教育 | 矢作 綾野 | 川崎医科大学 |
教育 | 橋本 美香 | 川崎医療短期大学 |
平成21年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 脇本 敏裕 | 川崎医療福祉大学 |
教育 | 熊谷 直子 | 川崎医科大学 |
教育 | 三上 史哲 | 川崎医療福祉大学 |
教育 | 河井 まりこ | 岡山大学大学院 |
平成20年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 横山 光彦 | 川崎医科大学 |
教育 | 芝﨑 謙作 | 川崎医科大学 |
教育 | 田中 俊昭 | 川崎医科大学附属川崎病院 |
教育 | 平田 あずみ | 岡山大学大学院 |
平成19年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
国際 | 片岡 則之 | 川崎医療福祉大学 |
教育 | 茅野 功 | 川崎医療福祉大学 |
教育 | 前田 恵 | 川崎医科大学 |
教育 | 永坂 岳司 | 岡山大学大学院 |
平成18年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 宮地 禎幸 | 川崎医科大学 |
教育 | 眞部 紀明 | 川崎医科大学 |
教育 | 平林 葉子 | 川崎医科大学大学院 |
教育 | 前島 伸一郎 | 川崎医科大学附属川崎病院 |
平成17年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 渡辺 洋子 | 川崎医科大学 |
教育 | 寳迫 睦美 | 岡山大学大学院 |
教育 | 美藤 純弘 | 岡山大学大学院 |
教育 | 稲垣 幸代 | 岡山大学大学院 |
平成16年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 橋本 謙 | 川崎医科大学 |
国際 | 辻 修平 | 川崎医科大学 |
平成15年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 三浦 孝仁 | 岡山大学 |