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川崎医療福祉大学 藤原 篤之
(令和2年度 受賞者)
この度は令和2年度 公益財団法人 川崎医学・医療福祉学振興会 教育研究助成を賜り有り難うございました。選考委員会の先生方、そして関係の皆様に厚く御礼申し上げます。
視力検査は眼科で代表的な視機能検査法です。そして視力検査では、自らの応答を必要とせず反射を頼りに見え方の評価を行う他覚的視力評価法が確立され、乳幼児期からの視力評価が可能です。その一方で、視力と同じく重要な視機能である視野については、自らの応答を頼りに検査を進行することが前提であり他覚的な評価法は確立されていません。これは、乳幼児では検査の理解力や、自ら正確な応答を行うことが困難なためです。しかし、早期に視野を評価できれば眼科臨床への影響は大きいと考えています。
私は過去に大学院に在籍をしていた際に、恩師とともに乳幼児の視野測定に取り組んできました。当時の手法は、乳幼児の注意を一点に集中させ周辺視標を呈示するものであり、大まかな広がりを評価することは可能でしたが、測定可能率や精度に限界がありました。問題解決のため、周辺視標をランダムに呈示をして視線移動量から広がりを計測する視線視野計測のアイデアを得ていましたが、当時は高額な装置しか販売されておらず実現に至っていませんでした。しかし約10年の時を経た現在、視線計測装置が一般にも普及をしており入手も容易となっています。こうした技術進歩が後押しとなり、本研究助成を受け再び乳幼児の視野測定に取り組む契機を得ることができました。
視線計測法は眼位の新しい計測法であり、一定時間に動いた眼の位置の変化を解析可能です。しかし、視線計測法を視野測定に応用した報告はありません。本研究で使用する視線計測装置は、視線の可視化を目的としており、眼鏡の装着を必要とせず自然な状態で計測できます。そのため、乳幼児の計測に有利で追従視標に対する無意識の視線を計測できます。通常の視野検査は自ら応答をすることが可能になってから行うのが一般的ですが、視線視野計測法では自ら応答をする必要がないため従来検査の対象外とされてきた年代での評価が可能です。今後は、一般にも広く活用可能な視線視野計測法を完成させ、小児眼科疾患の適切な管理に貢献していきたいと考えています。
最後になりますが、この度は研究助成を賜り本当に有り難うございました。医学の発展に非力ながらも貢献できるよう、今後も真摯に研究に向き合い精進して参ります。
[令和3年4月1日掲載]
平成24年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
国際 | 小田桐 早苗 | 川崎医療福祉大学 |
教育 | 原 裕一 | 川崎医科大学 |
教育 | 長洲 一 | 川崎医科大学 |
教育 | 大植 祥弘 | 川崎医科大学 |
教育 | 李 順姫 | 川崎医科大学 |
教育 | 溝手 雄 | 岡山大学大学院 |
教育 | 藤野 雅広 | 川崎医療福祉大学 |
平成23年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 西村 広健 | 川崎医科大学 |
国際 | 清蔭 恵美 | 川崎医科大学 |
教育 | 山内 明 | 川崎医科大学 |
教育 | 俵本 和仁 | 川崎医科大学 |
地域 | 正木 久男 | 川崎医科大学 |
教育 | 青木 淳哉 | 川崎医科大学 |
地域 | 下屋 浩一郎 | 川崎医科大学 |
平成22年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 三好 智子 | 岡山大学病院 |
教育 | 小野 淳一 | 川崎医科大学 |
教育 | 岡本 威明 | 川崎医科大学 |
教育 | 矢作 綾野 | 川崎医科大学 |
教育 | 橋本 美香 | 川崎医療短期大学 |
平成21年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 脇本 敏裕 | 川崎医療福祉大学 |
教育 | 熊谷 直子 | 川崎医科大学 |
教育 | 三上 史哲 | 川崎医療福祉大学 |
教育 | 河井 まりこ | 岡山大学大学院 |
平成20年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 横山 光彦 | 川崎医科大学 |
教育 | 芝﨑 謙作 | 川崎医科大学 |
教育 | 田中 俊昭 | 川崎医科大学附属川崎病院 |
教育 | 平田 あずみ | 岡山大学大学院 |
平成19年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
国際 | 片岡 則之 | 川崎医療福祉大学 |
教育 | 茅野 功 | 川崎医療福祉大学 |
教育 | 前田 恵 | 川崎医科大学 |
教育 | 永坂 岳司 | 岡山大学大学院 |
平成18年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 宮地 禎幸 | 川崎医科大学 |
教育 | 眞部 紀明 | 川崎医科大学 |
教育 | 平林 葉子 | 川崎医科大学大学院 |
教育 | 前島 伸一郎 | 川崎医科大学附属川崎病院 |
平成17年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 渡辺 洋子 | 川崎医科大学 |
教育 | 寳迫 睦美 | 岡山大学大学院 |
教育 | 美藤 純弘 | 岡山大学大学院 |
教育 | 稲垣 幸代 | 岡山大学大学院 |
平成16年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 橋本 謙 | 川崎医科大学 |
国際 | 辻 修平 | 川崎医科大学 |
平成15年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 三浦 孝仁 | 岡山大学 |