受賞者寄稿文

川崎医療短期大学　時弘　里紗
（令和6年度　受賞者）

業務用シューズの選び方及び満足度とシューズの提案
－学生・スタッフを対象に－

　この度は、令和6年度 川崎医学・医療福祉学振興会 教育助成を賜り、選考委員会の諸先生方および関係者の皆様方に深く感謝申し上げます。
　足は第2の心臓といわれているように身体のなかでも重要な部位です。ケアを行う際に看護職・介護職は、体位を自力で変えることが難しい対象者に対して、自分自身と対象者の体重を下肢と靴で支えています。つまり、業務用シューズは、仕事をするにあたり対象者と自分自身の身体を支えるとても重要な役割を果たします。その一方、先行研究では、靴選びの難しさ、業務用シューズの使用状況や現状に関しての課題が挙げられていました。
　足袋型シューズ試着後の満足度について、CS（Customer Satisfaction）分析を実施しました。改善の余地のある項目として、学生、病棟スタッフともに「洗える」、「着脱のしやすさ」が上位に挙がりました。
　今回の研究対象者の所属病棟では、入浴介助、ストレッチャーへの移乗介助等の業務があります。足袋型シューズは、素材が蒸れ予防のため生地が薄くなっており、ストレッチャーのストッパーを外すときには、足指の先を使用するためにカバーが必要であると分かりました。足の把持力やバランス力などの向上が期待でき、夜勤中の足の疲れがなくなるなど、一定の効果は得られましたが、足先のカバーがあるとさらに足袋型シューズの良さが活きてくると考えます。
　また、シャワー介助や食事介助のときに、洗剤や食事がかかり汚染することもあり、「洗える」ことが重要視されていると分かりました。「脱ぎ履きのしやすさ」については、シャワー介助など長靴に履き替える頻度が多く、紐が不便であるとの指摘があり、結ばない靴ひもを選択することで、脱ぎ履きのしやすさは改善すると考えます。
　病棟スタッフは、靴の正しい履き方や歩き方などの「教育を受けたことがある」と回答していましたが、学生は7割が「教育を受けたことがない」と回答していることから、専門職に移行するまでに、靴についての教育を受ける必要があると考えます。介護福祉士教育内容の介護従事者の安全に関する事項には、靴の選び方が腰痛予防に繋がることなどは触れられていません。介護職を目指す学生が、自らの足に関心を持ち、トラブル予防のための知識や行動を得られるよう、教育を受ける機会を設けることを目指していく所存です。
　最後になりましたが、これらの成果を得る機会を与えてくださいました貴財団の関係者の皆様方に厚く御礼申し上げるとともに、貴財団のますますの御発展を心より祈念しております。

［令和7年4月1日掲載］