受賞者寄稿文

川崎医科大学　久山 寿子
（令和5年度　受賞者）

第64回中国四国小児がん・小児外科研究会を開催して

　この度は公益財団法人川崎医学・医療福祉学振興会地域連携・交流助成を賜り、誠にありがとうございました。選考委員会の先生方および、関係者の皆様に感謝申し上げます。
　令和5年4月15日　倉敷市芸文館アイシアターにおいて、曹英樹会長のもと、第64回中国四国小児がん・小児外科研究会を無事執り行うことができました。
　中国四国地方の小児外科施設より、19演題が集まり、腫瘍関連で12演題、一般演題で7演題について活発な討論が行われました。珍しい症例、困難な症例に対して各施設の創意と工夫が感じられ大変刺激を受けました。残念ながら、新規に入局された小児外科医は当院も含めて1人もおらず、地方ではどの地域においても、若手小児外科医の確保に苦労しているのではと感じました。
　未曾有の少子化の進行の中で、小児外科疾患、特に小児がんはさらに希少疾患となり、1施設では数年に1度しか経験しないような症例が多くあります。このような状況の中で、単一施設での小児外科専門医、指導医の取得や若手小児外科医の育成にますますの困難が生じています。1つの小児外科施設が対応する地域が広域になるほど、状態の悪い児を遠方に搬送しなければならない事例が発生する危険性があり、地域の中で、小児外科施設が連携しあうことは重要です。この研究会を通して、施設間での意見交換を行うことができ、今後の協力体制の構築にもつながることが期待されます。
　特別講演では大阪母子医療センターの放射線科主任部長である西川正則先生をお招きし、「小児がん診療における画像診断」についてご講演いただきました。西川先生は日本で先駆けとなった医療センターのPediatric Cancer Boardに、設立時から中心メンバーとして30年以上小児がんの治療に携わってこられました。画像診断技術の向上により、小児固形がんにおいて、非常に精度の高い血管浸潤が描出可能となってきており、小児がん診療に携わる小児外科医にとって、非常に有意義であったと思います。
　最後になりましたが、本会開催にあたり川崎医学・医療福祉学振興会から多大なるお力添えをいただきましたことに改めて厚く御礼を申し上げます。

［令和6年4月1日掲載］