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川崎医科大学附属病院 篠永 篤志
(令和5年度 受賞者)
この度は公益財団法人川崎医学・医療福祉学振興会研究助成を賜わり誠にありがとうございました。選考委員の方々および関係者の皆様には深く感謝致します。
私は、川崎医科大学附属病院のリハビリテーションセンターに入職し、理学療法士として臨床および研究に励んで参りました。様々な領域の患者を担当する中で、人工股関節全置換術患者のリハビリテーション経過に興味を持つようになりました。その理由として、人工股関節全置換術の周術期管理はプロトコルの導入により安定した結果が得られている一方で、リハビリテーション経過には個人差があり画一的な理学療法内容では十分な回復が得られないことを経験したためです。この背景には患者層の高齢化が挙げられ、従来の股関節の機能障害に対するリハビリテーションのみならず、高齢者が直面している身体機能の問題点に対する包括的な介入が必要であると考えました。近年、様々な領域でサルコペニアに関する報告が増えています。サルコペニアとは加齢や疾患に伴う骨格筋量の低下に加えて筋力や身体機能が低下した状態を指し多領域において予後不良因子であることが明らかにされています。一方で、人工股関節全置換術患者におけるサルコペニアの有病率や、術後成績への影響を調査した報告は極めて少ないため、その実態は不明でした。
本研究では、人工股関節全置換術患者におけるサルコペニアの有病率や術後リハビリテーション経過へ影響を調査しました。調査の結果、サルコペニアの有病率は65歳以上の対象者では32.1%であり同年代の高齢者の有病率(14.1%)より高いということが明らかになりました。また、65歳未満の対象者においても22.4%の方がサルコペニアに該当していることが分かりました。さらに、サルコペニアを有する者は人工股関節全置換術後において移動能力が自立するまでの日数が長くなり、在院日数も延長していることが明らかになりました。これらの実態調査の結果は、人工股関節全置換術患者の術前後のリハビリテーションにおいてサルコペニアの評価や介入の意義を示している重要な知見であると考えます。今後は、サルコペニアを有する人工股関節全置換術患者の具体的な介入内容の立案、検証を行う必要があると考えております。
最後に、公益財団法人川崎医学・医療福祉学振興会の皆様に厚く御礼を申し上げるとともに、貴財団のさらなる発展を心よりお祈り申し上げます。
[令和6年4月1日掲載]
平成24年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
国際 | 小田桐 早苗 | 川崎医療福祉大学 |
教育 | 原 裕一 | 川崎医科大学 |
教育 | 長洲 一 | 川崎医科大学 |
教育 | 大植 祥弘 | 川崎医科大学 |
教育 | 李 順姫 | 川崎医科大学 |
教育 | 溝手 雄 | 岡山大学大学院 |
教育 | 藤野 雅広 | 川崎医療福祉大学 |
平成23年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 西村 広健 | 川崎医科大学 |
国際 | 清蔭 恵美 | 川崎医科大学 |
教育 | 山内 明 | 川崎医科大学 |
教育 | 俵本 和仁 | 川崎医科大学 |
地域 | 正木 久男 | 川崎医科大学 |
教育 | 青木 淳哉 | 川崎医科大学 |
地域 | 下屋 浩一郎 | 川崎医科大学 |
平成22年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 三好 智子 | 岡山大学病院 |
教育 | 小野 淳一 | 川崎医科大学 |
教育 | 岡本 威明 | 川崎医科大学 |
教育 | 矢作 綾野 | 川崎医科大学 |
教育 | 橋本 美香 | 川崎医療短期大学 |
平成21年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 脇本 敏裕 | 川崎医療福祉大学 |
教育 | 熊谷 直子 | 川崎医科大学 |
教育 | 三上 史哲 | 川崎医療福祉大学 |
教育 | 河井 まりこ | 岡山大学大学院 |
平成20年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 横山 光彦 | 川崎医科大学 |
教育 | 芝﨑 謙作 | 川崎医科大学 |
教育 | 田中 俊昭 | 川崎医科大学附属川崎病院 |
教育 | 平田 あずみ | 岡山大学大学院 |
平成19年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
国際 | 片岡 則之 | 川崎医療福祉大学 |
教育 | 茅野 功 | 川崎医療福祉大学 |
教育 | 前田 恵 | 川崎医科大学 |
教育 | 永坂 岳司 | 岡山大学大学院 |
平成18年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 宮地 禎幸 | 川崎医科大学 |
教育 | 眞部 紀明 | 川崎医科大学 |
教育 | 平林 葉子 | 川崎医科大学大学院 |
教育 | 前島 伸一郎 | 川崎医科大学附属川崎病院 |
平成17年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 渡辺 洋子 | 川崎医科大学 |
教育 | 寳迫 睦美 | 岡山大学大学院 |
教育 | 美藤 純弘 | 岡山大学大学院 |
教育 | 稲垣 幸代 | 岡山大学大学院 |
平成16年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 橋本 謙 | 川崎医科大学 |
国際 | 辻 修平 | 川崎医科大学 |
平成15年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 三浦 孝仁 | 岡山大学 |