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川崎医科大学 綾木 麻紀
(令和2年度 受賞者)
この度は、令和2年度 川崎医学・医療福祉学振興会 教育研究助成を賜り、選考委員会の先生方および関係者の皆様方に深く感謝申し上げます。
私は、「成人における好酸球性食道炎の臨床像および臨床病理学的検討」というテーマで研究をさせていただきました。好酸球性食道炎は、食道粘膜への多数の好酸球浸潤を特徴とするアレルギー性消化管疾患であり、アトピー性皮膚炎や喘息などとの関連が示されています。好酸球性食道炎には食道狭窄などの重篤な病態を引き起こす症例がある一方で、検診ではじめて発見される無症状の例もあり、その臨床像および病態に関しては不明な点が多いのが現状です。治療に関してもProton pump inhibitor (PPI)が奏功する症例もあればステロイド療法が必要な症例、さらには生物学的製剤が必要となる症例も存在し、現時点ではその治療効果を予測するバイオマーカーは存在しません。そのため、まず好酸球性食道炎の病態を明らかにするため、①食道狭窄や線維化にはTh2サイトカイン産生に伴うIgG4産生亢進に伴う病変部の線維化が関与しているのではないか、②Th2サイトカインの亢進には免疫応答のブレーキ役として働く制御性T細胞(Treg)の多寡が関与しているのではないか、という仮説をたて採取した食道組織の免疫染色をおこないました。その結果、好酸球性食道炎の食道粘膜では相対的にTregが減少していることが明らかとなりました。一方でIgG4に関しては狭窄や線維化の有無によって染色パターンに差異はみられませんでした。今後は線維化や狭窄と関連する蛋白について、さらなる検討を行っていく予定です。
現在、好酸球性食道炎の患者は世界的に増加の一途をたどっております。患者数は圧倒的に欧米が多い疾患であり、日々新しい知見が報告されております。大規模な検討で得られる知見もあれば、個々の患者の症状や、内視鏡像や組織像を一つ一つ対比させて症例毎に検討することではじめて得られる知見もあると考えております。少しでも病態解明の糸口となるような発見ができるよう地道に研究を行っていきたいと思います。
最後に研究のお力添えをいただいたことに改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。
[令和3年4月1日掲載]
平成24年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
国際 | 小田桐 早苗 | 川崎医療福祉大学 |
教育 | 原 裕一 | 川崎医科大学 |
教育 | 長洲 一 | 川崎医科大学 |
教育 | 大植 祥弘 | 川崎医科大学 |
教育 | 李 順姫 | 川崎医科大学 |
教育 | 溝手 雄 | 岡山大学大学院 |
教育 | 藤野 雅広 | 川崎医療福祉大学 |
平成23年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 西村 広健 | 川崎医科大学 |
国際 | 清蔭 恵美 | 川崎医科大学 |
教育 | 山内 明 | 川崎医科大学 |
教育 | 俵本 和仁 | 川崎医科大学 |
地域 | 正木 久男 | 川崎医科大学 |
教育 | 青木 淳哉 | 川崎医科大学 |
地域 | 下屋 浩一郎 | 川崎医科大学 |
平成22年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 三好 智子 | 岡山大学病院 |
教育 | 小野 淳一 | 川崎医科大学 |
教育 | 岡本 威明 | 川崎医科大学 |
教育 | 矢作 綾野 | 川崎医科大学 |
教育 | 橋本 美香 | 川崎医療短期大学 |
平成21年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 脇本 敏裕 | 川崎医療福祉大学 |
教育 | 熊谷 直子 | 川崎医科大学 |
教育 | 三上 史哲 | 川崎医療福祉大学 |
教育 | 河井 まりこ | 岡山大学大学院 |
平成20年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 横山 光彦 | 川崎医科大学 |
教育 | 芝﨑 謙作 | 川崎医科大学 |
教育 | 田中 俊昭 | 川崎医科大学附属川崎病院 |
教育 | 平田 あずみ | 岡山大学大学院 |
平成19年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
国際 | 片岡 則之 | 川崎医療福祉大学 |
教育 | 茅野 功 | 川崎医療福祉大学 |
教育 | 前田 恵 | 川崎医科大学 |
教育 | 永坂 岳司 | 岡山大学大学院 |
平成18年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 宮地 禎幸 | 川崎医科大学 |
教育 | 眞部 紀明 | 川崎医科大学 |
教育 | 平林 葉子 | 川崎医科大学大学院 |
教育 | 前島 伸一郎 | 川崎医科大学附属川崎病院 |
平成17年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 渡辺 洋子 | 川崎医科大学 |
教育 | 寳迫 睦美 | 岡山大学大学院 |
教育 | 美藤 純弘 | 岡山大学大学院 |
教育 | 稲垣 幸代 | 岡山大学大学院 |
平成16年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 橋本 謙 | 川崎医科大学 |
国際 | 辻 修平 | 川崎医科大学 |
平成15年度
受賞部門 | 氏名 | 所属 |
教育 | 三浦 孝仁 | 岡山大学 |