受賞者寄稿文

川崎医科大学　野村 長久
（令和4年度　受賞者）

第31回　西部乳腺研究会のご報告

　この度は令和4年度　公益財団法人　川崎医学・医療福祉学振興会　地域連携・交流助成を賜りまして、誠にありがとうございました。選考委員の先生、並びに関係者の皆様に深謝申し上げます。
　私は、乳癌診療、特に画像診断を専門として全国・地域にて講習・指導に邁進しております。その一環として、岡山県西部地区を中心とした乳腺に関する研究会、すなわち西部乳腺研究会の世話人あるいは講演活動を継続的に行っておりました。
乳腺疾患の診断は、画像診断の研究が最も発展している部門の一つであり、その技量の差により、その患者の予後あるいはQOLは大きく異なってしまいます。
　乳腺疾患の診断の難しさは、病変の評価はもちろんの事、存在の有無を感知できるかどうかが大きな問題であります。
　今回、“そうだったんだ！乳腺超音波上達の基礎理論”というテーマで何森亜由美先生に講演していただきました。何森先生は、病変を見つけるために重要なことは、正常の乳腺構造を正しく理解すること、そして正常構造から逸脱するものを病変として検出できると主張されておられました。また、正常の乳腺構造も個人差、年齢の推移による変化が生じる事も加味して評価する必要があるとも述べられておりました。
　乳房超音波画像と摘出標本、マンモグラフィ、MRIとの比較画像、イラストを駆使して受講者に非常にわかりやすいスライドを用いた講演であり、とても満足度の高いものでありました。
　症例検討は、若年発症乳癌や炎症性疾患、良性と悪性の混在している症例など、診断に苦慮する3症例について、多くの施設関係者から意見を述べ合い、非常に有用な議論が展開されました。実臨床は経験も非常に大事であることから、今回の受講者は非常に良い経験になったのではないかと思われます。
　最後になりますが、貴財団から賜りました地域連携・交流助成によって、地域の診療レベルの向上および病院間の連携にも大きく貢献出来ました。改めて、お力添えを頂いた貴財団に厚く御礼を申し上げるとともに、貴財団の益々の発展を心よりお祈り申し上げます。

［令和5年4月1日掲載］